新郎の父 15 声
2023年10月7日
いよいよ 式が始まります。直前に長男であるEさんに次のことを確認をしました。
『万が一、本日この式中にお父様が亡くなったとしても、そのまま披露宴が終わるまでここにいさせたいと思いますか? それとも何としてでもご自宅にお連れした方がよろしいですか?』と私が尋ねました。
Eさんは
『このまま最後までいさせてやりたいです。』と応えました。
ご家族の願いが通じたのでしょう。C さんはとても安定していました。Cさんは全てを分かってるかのように何も問題が起きませんでした。お孫さんたちも沢山きており、とても嬉しそうに見えました。結婚式と披露宴の最中の会場内の音声はZOOMとLINE電話をCさんの耳元にご家族様が準備して置いてくださっており、Cさんはそれを聞き入っているように見えました。わずかな時間でもCさんを会場に移動しようかとご家族に提案しましたが、それはお断りされました。
披露宴も終盤に差し掛かり、新郎新婦から皆様へのご挨拶となりました。粛々とご両親への感謝を述べていらっしゃいました。新婦のご挨拶が終わり、新郎である息子さんの挨拶となりました。
するとその日一日ほとんど声を出すこともなく過ごしていたCさんから『うっ。うっ』と言葉にならない声が一瞬だけ聞こえました。私ししかその場にいなかったので他の方々は聞いていませんでしたが、私には間違いなく聞こえました。もしかして嬉しくて泣いていたのかもしれません。