新郎の父 10 決まった

 ネーザルエアウェイとNIPPVの組み合わせは素晴らしいものでした。呼吸もしやすくなり、Cさんも眠ることができるようになりました。この時点で結婚式まで残すところ2日。ここで改めてご家族と相談をしました。議題は『本当に式に連れていくのか』でした。
お子さんDは言いました。
『現状では連れて行くのは父にとって危険すぎるのではないか』と。
 別のお子さんEが言いました。
『確かにそうだ。最悪は結婚式を延期してもらえないだろうか』。そうは言っても皆さんは、それが現実的ではないことを知っていました。
 その後もしばらくは結論がでずに悶々とした時間が過ぎました。しばらくしたところで、ご兄弟の中でも一番長い時間を介護にあてられていたお子さんFが目を腫らせながら力強く言いました。
『いや、連れて行こう。ねっ、お母さん』と。
 そして隣にいた奥様がハッキリした口調で『うん。連れていく。』と応えました。
 このような経緯で、Cさんが結婚式に参列することが決まったのです。

目次
閉じる