40代後半のがん末期の女性がいらっしゃいました。ご両親様と生活されていましたが、彼らもご高齢であり自宅内での娘さんへの介護が難しい状態でした。また、金銭的にも厳しく生活保護を新規に申請するという方針を提案しました。
 しかし、ご自宅ではお父様も収入が僅かにあるため生活保護の適応になることが難しく、施設入所を選択されました。これにより世帯分離も行えるため入所することで医療介護を適切に受けることができると考えて有料老人ホームに入所となりました。
 食欲もなく、苦しい時間が多くなり食事の提供を中止する状態になりました。
 ある時に御本人が『冷蔵庫にある梨が食べたい』おっしゃったのですが、施設の基準から梨を施設側から提供することができない事態となりました。
 これを聞いた当院の事務長が、自分で梨を買いに行き皮を剥いて一口大にしたものをタッパーに入れて御本人のところに持参してくれました。大変よろこんで召し上がっていたそうです。
 その2週間後には他界されました。季節の梨を食べていただくことができて本当に良かったです。
 事務長さん、ありがとうございました!!

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